多能工

たのうこう

多能工とは、さまざまな工程の作業ができるスキルを身につけ、業務内容や時期、ニーズに合わせて柔軟に対応できる従業員のことをいう。多能工を導入することで、欠員が出た際のカバーや状況に応じた柔軟な配置換えが可能になることが長所としてある。一方で複数の業務を覚える必要があるため、一つの業務に対しての習熟度が浅くなり、専門性が希薄化する恐れがあるという短所がある。「マルチスキル」とも呼ばれる。

〇多能工が必要とされる背景
・労働人口の減少
日本国内の労働人口は、少子高齢化で生産年齢人口(15~64歳)が減る一方で、高齢者や女性、外国人の労働参加が進み、近年は増加傾向にある。しかし、製造業の就業者は減少傾向が続いている。人手不足は製造業にとって大きな問題となっており、多能工の必要性が高まっている。

・市場ニーズの多様化への対応
近年、消費者ニーズの多様化が進み、多品種少量生産への対応が求められている。それに伴い、製造現場では従業員に幅広い知識や技能が必要とされるようになっている。多能工は、複数のスキルを活かして多様なニーズに柔軟に対応できる人材であり、企業の競争力を維持するうえで重要な役割を果たしている。

〇多能工化によるメリット
① 仕事量の標準化
業務の属人化を防ぎ、特定の時期や担当者に仕事が偏らないように、タスクやスケジュールを分散・均等化できる。多能工が増加すれば、1人の従業員が複数の業務を担当できるようになるため、限られた人員のなかで現場の状況に合わせながら、担当業務を変えることができる。人材の不足や突発的な欠員が生じても、配置や応援による柔軟な対応が可能になる。

② 業務の安定化
従業員ごとの担当が固定し、業務手順や判断基準が十分に共有されていない場合、業務が属人化すると、急病や急用で不在になった際に業務が滞るリスクが高まるなど担当者の負担も増えることにもつながる。一方、多能工化を進めることで、業務のオペレーションの見える化やマニュアル化が進むため、イレギュラーな事態が発生した場合でも、他の従業員がフォローできる体制を整えやすくなる。このことから、多能工化は業務の安定的に進めるためのリスク対策としても有効である。

③ チームワークの向上
多能工化によって一人の従業員が複数の業務を担当することで、主担当以外の業務への理解も深まる。その結果、従業員同士が互いの業務を理解し、協力し合う意識が生まれることで、チームワークの向上につながる。また、業務への理解を共有することで、組織内の一体感や結束力を高める効果も期待できる。このように、多能工化は個人の業務範囲を広げるだけでなく、組織全体の連携を強化することにもつながる。

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