202311.28
人材ビジネスの知識

労働基準法 第4条〜第6条 男女同一賃金の原則、強制労働の禁止、中間搾取の排除

男女同一賃金の原則(第4条)

使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

【関係通達】

イ)「女性であることを理由として」とは、女性労働者が、一般的又は平均的に能率が悪いこ と、勤続年数が短いこと、主たる生計の維持者ではないこと等を理由とすることをいう。従って、男女労働者について、職務、能率、技能、年齢、勤続年数等によって賃金に個人的差異が生じても本条違反ではない(昭和22.9.13発基17号、平成9.925基発648号)。

ロ)就業規則に賃金について男女差別の規定があるが、現実に行われておらず、賃金の男女差別待遇の事実がなければ、その規定は無効ではあるが、本条違反とはならない(昭和23.12.25基収4281号)。

Q         「男性は月給制で、女性は日給制」とするようなことは違法ですか?

A     「賃金」とは、賃金額だけでなく賃金体系、賃金形態等を含むので「男性は月給制で、女性は日給制」とするようなことは本条違反します。

なお、「差別的取扱い」には、不利に取扱う場合のみならす有利に取扱う場合も含まれます。

強制労働の禁止 (第5条)

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

【関係通達】

イ)「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」とは、暴行、脅迫、監禁の他には、長期労働契約(法14条)、賠償額予定契約(法16条)、前借金契約(法17条)、強制貯蓄(法18条)などがあるが、就業規則に社会通念上認められる懲戒罰を規定するごときはこれに該当しない(昭和63.3.14基発150号)。

ロ)「労働者の意思に反して労働を強制」するとは、不当な手段を用いることにより、労働者の意識ある意思を抑圧し、労働すべく強要することをいい、必ずしも現実に「労働」することを必要としない(昭和23.3.2基発381号)。

 

《参考》

本条違反については、「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金(法117条)」という労働基準法上最も重い罰則が科せられる

中間搾取の排除。(第6条)

何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

【用語の説明】

「何人も」とは 

他人の就業に介入して利益を得る第三者(当事者である使用者と労働者以外の者)をいい、個人、団体又は公人たると私人たるとを問わない。

「業として利益を得る」とは

営利を目的として、同種の行為を反復継続することをいい、たとえ1回の行為であっても、反復継続して利益を得る意思があれば本条違反であり、主業としてなされると副業としてなされるとを問わない。

「利益」とは

金銭以外の財物を含み、有形無形たるとを問わず、使用者から得る利益に限らず、労働者又は第三者より得る利益も含まれる。

「他人の就業に介入」 するとは

労働関係の当事者、 即ち使用者と労働者の中間に、 第三者が介在して、 その労働関係の開始存続について、 媒介又は周碇をなす等その労働関係について、 何等かの因果関係を有する関与をなしていることである。 労働関係の開始に介在する場合たると、 労働関係の存続に介在する場合たるとを問わない。

Q         労働者派遣は、中間搾取に該当しますか?

A          労働者派遣については、派遣元と労働者との間の労働契約関係及び派遣先と労働者との間の指揮命令関係を合わせたものが全体として当該労働者の労働関係となります。したがって派遣元による労働者の派遣は、労働関係の外にある第三者が他人の労働関係に介入するものではなく、労働基準法第6条の中間搾取には該当しません。

【関係通達】

イ)労働者供給については、供給先と労働者との間に実質的な労働関係があるので、供給元による労働者の供給は、 供給先と労働者との労働関係の外にある第三者である供給元が 「他人の労働関係に介入する」 こととなる。 なお、 供給元と労働者との間に労働契約関係がある場合については、 労働者派遣と同様、 供給元は 「他人の労働関係に介入」するものではない(昭和61.6.6基発333号)。

ロ)他人の就業に介入して得る利益の帰属主体は、 必ずしも行為者に限らないので、 法人の従業者が違反行為を行い、 その者が現実に利益を得ていない (法人が利益を得ている) 場合であっても、 当該行為者について本条違反が成立する(昭和34.2.16 33基収8770号)。

ハ)たとえ被害労働者が1人であっても、その労働関係継続中に被疑者が十数回にわたり反復継続的に利益を得ていることは、本条にいう業として利益を得たことになる(昭和25.6.1基収1477号)。

《参考》

①本条違反については、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金(法118条1 項)」という労働基準法上2番目に重い罰則が科せられる。

②本条でいう「法律」とは、具体的には、職業安定法及び船員職業安定法である(昭和33.2.13基発開号)。

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