202409.30
人材ビジネスの知識

解雇予告(法20条)

解雇予告と予告手当(法20条1項前段、2項)

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30 日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。また、予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

解雇予告期間と解雇予告手当については、両者を併用して30日以上にする方法でもかまいません。例えば、10日分の平均賃金を支払うのであれば、20日前の解雇予告でも足ります。

≪関係通達≫

  1. 解雇予告の意思表示は、一般的には取り消すことができないが、労働者が具体的事情の下に自由な判断によって同意を与えた場合には、取り消すことができるものと解すべきである。 (昭和2.13基発90号)。
  2. 解雇の予告はしたものの、解雇予定日をすぎて労働者を使用してしまった場合には、同一条件でさらに労働契約がなされたものとみなされるので、その解雇予告については無効となり、その後解雇しようとするときには改めて解雇予告等の手続が必要となる(昭和6.18基発1926号)。
  3. 解雇予告期間中、労働者は他の使用者と雇用契約を結んでもよいが、自ら契約を解除した場合を除き、予告期間満了までは従来の使用者のもとで勤務する義務がある(昭和2.13基発90号)。
Q    解雇の予告は、口頭で行っても有効ですか?
A    予告は、直接個人に対して解雇の意思表示が明確に伝わる方法であれば、口頭で行っても有効とされています。ただし、解雇に関して争いが起こった場合に証明が困難となる場合が多いので、解雇予告の手続としては口頭に加えて労働者に書面を交付することにより予告することが望ましいです。

解雇予告手当

解雇予告手当は賃金ではありませんが、解雇の申渡しと同時に、通貨で直接支払うべきであるとされています。

≪関係通達≫

  1. 解雇予告期間を設けず、解雇予告手当も支払わすに即時解雇の通知が行われた場合であっても、使用者が解雇する意思があり、かつ、その解雇が一必ずしも即時解雇であることを要件としていないと認められる場合には、その即時解雇の通知は30日経過後において解雇する旨の予告として効力を有する(昭和5.13基収1483号)。
  2. 解雇の申渡しと同時に解雇予告手当を提供ししたが、労働者が解雇予告手当の受領を拒んだ場合には、これを法務局に供託することができる(昭和3.14基発150号)。
  3. 労働者が使用者に対して負う借金と解雇予告手当を相殺することはできない(昭和1.8基収54号)。

解雇予告の除外(法20条1項後段、3項)

次の場合には、第20条の解雇予告の規定は適用されない。

①    天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となり、かつ、その事由について行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受けた場合

②    労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合であって、かつ、その事由について行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受けた場合

労働者の責に帰すべき事由に該当するもの(原則)

(ア)事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為

(イ)賭博等職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ばす行為

(ウ)雇入れの際の重大な経歴の詐称

(エ)他事業場への転職

(オ)2週間以上の正当な理由なき無断欠勤

(カ)出勤不良が改まらない場合

≪関係通達≫

即時解雇の意思表示をした後に解雇予告除外認定を受けた場合であっても、その解雇の効力は、使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生する(昭和63.3.14基発150号)。

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