解雇制限期間(第19条)
解雇制限期間
使用者は、次の期間は労働者を解雇してはならない。
①労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日 ②産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日 |
≪参考通達≫
① 業務上傷病により治療中であっても、そのために休業しないで出勤している場合は、解雇制限の規定は適用されない。また、休業していたとしても、その後出勤した日から起算して30日を経過すれば、完全に治ゆしていなくてもその段階での解雇については本条に抵触しない(昭和4.12 基収1134号)。
② 労働者が業務上負傷し休業している期間中でも、契約期間が満了した場合には、当該契約が反復継続されたものでない限り、労働契約を終了させても本条違反ではない (昭和3.14基発150号)。
③ 派遣労働者の場合、解雇に関しては、派遣元の使用者が規制の対象になるので、派遣先の使用者が、派遣労働者の解雇制限期間中に労働者派遣契約を解除したとしても、労働基準法に抵触するものではない(昭和6.6基発333号)。
≪参考≫
たとえ産前6週間以内の期間中でも女性が休暇を取らすに就業している場合には、その期間中の解雇制限は適用されません。
解雇制限の解除
次の場合には、第19条の解雇制限の規定は適用されない。
①使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合 ②天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となり、かつ、その事由について行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受けた場合 |
解雇制限の規定が解除されるのは、次の2つの場合であります。
1.打切補償
療養補償を受ける労働者の傷病が、療養開始後3年を経過しても治らないときは、使用者は平均賃金の1,200日分の打切補償を行えば、以後、労働基準法に基づく補償は不要となります。なお、この場合は、所轄労働基準監督署長の認定を受ける必要もありません。
2.事業継続不可能
天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合にも、解雇制限の規定は解除されるが、この場合には所轄労働基準監督署長の認定が必要となります。
≪参考通達≫
「やむを得ない事由」とは、天災事変のほか、天災事変に準ずる程度の不可抗力によるもので、かつ、突発的な事由を意味し、経営者として必要な措置をとっても通常いかんともし難いような状況にある場合をいう。((昭和63.3.14基発150号)。)