202501.30
人材ビジネスの知識

賃金支払の5原則(第24条)

 

①   賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

②   賃金は、次の場合には、通貨以外のもので支払うことができる。

⑴  法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合

⑵  厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合

③   賃金は、次の場合には、その一部を控除して支払うことができる。

⑴  法令に別段の定めがある場合

⑵  当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合

④   賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

 

  • 通貨払の原則

賃金は、通貨で支払わなければならないが、次の2つの場合には通貨以外のもので支払ってもよい。

①法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合

※現在のところ法令で定められているものはない

②厚生労働省令で定める賃金について、確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合

(1)労働者の同意を得て、以下の方法による場合

(ア)労働者が指定する銀行、その他の金融機関に対する当該労働者の預金若しくは貯金への振込み等

(イ)労働者が指定する金融商品取引業者 (第1種金融商品取引業を行う者に限る)に対する当該労働者の預り金(所定の要件を満たすものに限る)への払込み

(ウ)労働者が指定する指定資金移動業者の口座への資金移動

(2)労働者の同意を得た場合には、退職手当の支払について、上記の口座振込によることができるほか、銀行振出小切手、銀行支払保証小切手、郵便為替を交付する方法によることができる。

 

≪参考通達≫

労働協約の定めによって通貨以外のもので支払うことが許されるのは、その労働協約の適用を受ける労働者に限られる(昭和63.3.14基発150 号)。

 

  1. 直接払の原則

賃金は、直接労働者に支払わなければならない。したがって、労働者の親権者その他法定代理人、委任を受けた任意代理人に賃金を支払うことは労働基準法違反となり、その支払いは無効となる。ただし、本人が病気であるときなどに妻子等の使者(賃金を本人に支払うのと同一の効果を生ずる者)に支払うことは差し支えない。

 

  1. 全額払の原則

賃金は、その全額を支払う必要があるが、次の場合にはその一部を控除して支払うことができる。

①法令に別段の定めがある場合

所得税や地方税の源泉徴収、社会保険料の控除等

②労使協定がある場合

買代金、社宅、寮その他の福利厚生施設の費用、組合費等を賃金から控除するためには、労使協定を締結することが必要

 

≪参考通達≫

労働基準法第24条の規定による賃金の一部控除については、控除される金額が賃金の一部である限り、控除額についての限度はないが、民法及び民事執行法により、1賃金支払期の賃金額の4分の3又は退職金の額の4分の3については、使用者側から相殺することができない(昭和63.3.14基発150号)。

 

  1. 毎月一回以上払及び一定期日払の原則

賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。

 

【例外】

①臨時に支払われる賃金

臨時的、突発的事由に基づいて支払われるもの、及び結婚手当等支給条件はあらかじめ確定されているが、支給事由の発生が不確定であり、かつ非常に稀に発生するものをいう(昭和22.9.13発基17号)。

具体的には、私傷病手当、加療見舞金、退職金など

②賞与

定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額があらかじめ確定されていないものをいう(昭和22.9.13発基17号)。

③その他厚生労働省令で定める賃金

(ア)一箇月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当

(イ)一箇月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当

(ウ)一箇月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給又は能率手当

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