202609.30
人材ビジネスの知識

民法 契約自由の原則(第521条・第522条)

第521条

1 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。

2 契約の当事者は、法令の範囲内において、契約の内容を自由に決定することができる。

第522条

1 契約は、契約の内容を示してその契約を申し入れる意思表示(申込み)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他方式を具備することを要しない。

 

1 契約とは何か

契約とは、当事者間における法的拘束力をもった約束のことである。契約は、申込みと承諾が合致した時、すなわち合意によって成立する(522条1項)。

2 契約自由の原則

民法では、契約について、①締結するかどうかの自由(締結の自由)、②誰と契約するかの自由(相手方選択の自由)、③契約の内容についての自由(内容の自由)、④どのような方式にするかの自由(方式の自由)がある。これら①~④を総称して、契約自由の原則という。この中で、①、③、④については、明文で定められている(①につき、521条1項、③につき、521条2項、④につき、522条2項参照)。もっとも、契約の自由の原則があるからといって、妾(愛人)契約や奴隷契約等、公序良俗に反する契約については、無効となる(90条参照)。

 

3 契約が有効に成立するには

契約が有効となる要件として①適法性、②可能性、③確定性、④社会的妥当性について、確認しよう。

⑴ 適法性

契約は、適法なものでなければならない。覚せい剤の売買や、臓器売買等、違法な契約は無効である。

⑵ 可能性

契約の内容が実現可能であることは、従来、契約の有効要件の一つと考えられていた。例えば、建物を譲渡する契約を締結したのに、契約締結前に建物が火災によって消失していた場合、契約は有効とはならないとされていた。

もっとも、この点について、平成29年に改正が施された。すなわち、上記のような場合、契約は有効であるが、債権者は、「建物を引き渡せ」というような履行の請求ができず、損害賠償請求ができるのみとなる(412条の2第1項、第2項参照)。

⑶ 確定性

契約は、確定した内容でなければならない。「甲は、乙に対し、甲の事業に必要な業務を適宜乙に委託し、乙は、これを行う」という業務委託契約を例に考えてみよう。この文言から、乙は、どのような業務を委託されるか分かるだろうか。また、甲の事業に必要な業務とは何を指すのだろうか。このように、不確定な契約は、有効とはならないことがある。

⑷ 社会的妥当性

契約は、社会的に見て妥当なものでなければならない。社会的に見て妥当とは、社会一般の秩序や倫理観等に反していないという意味である。すなわち、公序良俗に反してはならないということである。

 

4 契約の類型

〇典型契約と非典型契約

典型契約とは、民法に定めのある契約のことである(13種類)。それに対して、非典型契約とは、民法に定めのない契約のことである(非典型契約の例:リース契約)。

 

〇典型契約の種類

 

Q 契約を締結する際には、契約書は必須ですか?
A いいえ。契約は、当事者間の合意のみで成立しますので、書面を具備する必要は、ありませ   ん(もっとも、保証契約等例外あり(446条2項参照))。
Q では、なぜ実務では、契約書を取り交わす必要があるのですか?
A 大きい理由としては、契約内容を証拠として残すためです。口頭での合意だけでは、どのような条件で取引を行うことになっていたか、後から確認することが難しい場合があります。契約書を作成することで、トラブル時に根拠をもって説明ができます。

 

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