202608.27
人材ビジネスの知識

民法 基本原則(第1条)

1 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

1 1項
私権の行使は、社会共同生活と調和を保ち、社会全体の利益と適合するように行使しなければならない。憲法で要請されている原理を、民法で明文化したものである。

2 2条
いわゆる信義則の規定である。信義則とは、権利の行使や義務の履行にあたり、相手方の信頼を裏切らないよう、誠実に行動すべきという原則をいう。民法では、「契約自由の原則」から、契約を締結するか、誰と結ぶか、どのような内容にするか、どの方式にするかは、自由に決めることができる。しかし、相手方の信頼を不当に裏切るような権利の行使や義務の履行まで許されるわけではない。例えば、客先との契約締結において、契約締結の判断に重要な影響を及ぼす情報を把握していたにもかかわらず、それを相手方に知らせないまま契約を締結した場合であり、実務においても注意を要する。また、信義則は、権利の行使、義務の履行だけでなく、契約の解釈の基準となる点もおさえておきたい。

3 3項
権利の濫用は、許されない。これは、外形的には権利の行使に見えても、実質的に観察すると、社会的に相当とはいえない場合には、権利の行使として認められないことである。権利の濫用にあたるかどうかは、権利の行使によって、権利者が得られる利益と、相手方が失われる利益を比較衡量する等、個別具体的に決定する。

4 効果
では、信義則違反や、権利の濫用にあたる場合は、どうなるのだろうか。
第1に、その権利行使の効果が否定されることがある。
第2に、権利の濫用が、不法行為性を帯び、損害賠償義務が発生することがある。
第3に、権利がはく奪されたり、権利が消滅したりすることがある(民法834条等)。

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