202303.13
人材ビジネスの知識派遣法

安全衛生教育に関する協力や配慮

安全衛生教育に関する協力や配慮

1.派遣元に対する情報提供等
(1)雇入れ時及び作業内容変更時の安全衛生教育
派遣労働者の雇入れ時の安全衛生教育については、雇用主である派遣元に実施義務があり、また、作業内容変更時の安全衛生教育については、具体的事情に応じて派遣元又は派遣先に実施義務があります。具体的には、作業内容変更が、派遣先の変更に伴うものなど派遣元の事情によるものである場合には派遣元に、派遣先の機械設備や作業方法等の大幅な変更に伴うものなど派遣先の事情によるものである場合には派遣先に実施の義務があります。なお、安全衛生教育の実施義務が派遣元にある場合であっても、派遣労働者は派遣先の作業環境のもとで機械設備等を使用して、派遣先の指揮命令を受けて作業を行っていることから、派遣先の業務に関する具体的な情報に基づいて安全衛生教育を実施することが効果的であり、また適切です。そのためには、雇入れ時の安全衛生教育や作業内容変更時の安全衛生教育を派遣元が実施する場合でも、派遣労働者が従事する業務に関する情報を派遣先から事前に得ておくことが必要であり、また、派遣先はこれらの情報を派遣元に対して積極的に提供していくことが適当です。(2)派遣元に提供する業務情報
派遣先が派遣元に提供する安全衛生教育関連の情報としては、次のようなものがあります。派遣元は、これらの情報を参考にして安全衛生教育を実施することにより、具体的で実践的な内容のものとすることができます。
① 作業服装や保護具等に関すること
② 構内の通行ルールに関すること
③ 整理、整頓及び清掃に関すること(4Sなどに関すること)
④ 使用する機械設備の種類・型式等に関すること
⑤ 機械設備の安全装置に関すること
⑥ 健康障害予防のための防護設備に関すること
⑦ 手工具や有害物の取扱いに関すること
⑧ 作業場に設置されている安全衛生標識に関すること
⑨ 休憩室や更衣室等に関すること

(3)教育カリキュラムの作成等の援助
派遣元は、安全衛生教育を分野別に、又は段階的に行うための教育カリキュラムを作成する場合、自社に適当な教育用テキスト、教育施設がない場合などには、派遣先と相談して必要な教育カリキュラムの作成、教育施設等について協力要請等を行います。
また、派遣先は、安全衛生教育に関して派遣元から次のような事項について依頼があった場合には、可能な限り協力、配慮を行います。
① 教育カリキュラムの作成の支援
② 講師の紹介、講師の派遣
③ 教育テキストの提供
④ 教育施設、機材の貸与等

2.派遣元からの教育委託の申し入れと対応
(1)教育の委託
派遣先は、派遣元から雇入れ時又は作業内容変更時[注]の安全衛生教育の実施について委託の申し入れがあった場合には、可能な限りこれに応じるなど、必要な協力を行わなければなりません。
その理由としては、次の2つがあげられます。
① 派遣労働者に対して、自社の教育施設で、確実に、自社の労働者と同様レベルの安全衛生教育ができること。
② 派遣労働者が従事する業務内容と一体化した安全衛生教育ができること。
なお、このような申し入れが特になく、派遣元が雇入れ時等の安全衛生教育を実施する場合であっても、派遣先が職場環境、作業内容の特殊性・専門性など配属する職場の特徴等を踏まえた教育の実施を望む場合には、派遣元と資料の提供等についてあらかじめ連絡調整することが必要です。注)作業内容変更時の安全衛生教育は、上記1⑴のとおり、具体的事情に応じて派遣元又は派遣先に実施義務があります。

(2)委託する教育内容の調整
派遣元は、派遣先に安全衛生教育の実施を委託する場合には、委託する教育内容と自らが実施する教育内容について、派遣先と事前に連絡調整する必要があります。具体的には、①派遣元が基本的な教育を行い、その内容を派遣先に通知した上で、派遣先が現場の設備や実際の作業手順等に基づき具体的な教育を行うのか、②基本的な事項を含め派遣先が教育を行うのかなど、事前に十分な調整を行い、派遣労働者の安全衛生を確保するために必要な内容について確実に教育を実施する必要があります。

(3)委託契約書の締結と記録の保存
派遣先が、委託に基づいてこれらの教育を実施した場合には、その実施結果を記録しておくとともに、派遣元に必ず報告します。派遣元は、その報告受理の日時を記録するとともに、報告書を保存しておきます。(例えば、特別教育については派遣先において3年間の保存義務があります。)
 なお、派遣先が委託契約に反して安全衛生教育を実施しなかった場合には、実施の責任そのものは派遣元にあるので、派遣元は実施義務違反の責任を免れません。 そのため、派遣元は、委託した教育の実施状況を必ず確認する必要があります。

 

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Q&A

Q.安全衛生とはどういったものですか?

A.労働者の安全(労働安全)と健康(労働衛生)を守るための取り組みです

Q.雇い入れ時と作業内容変更時以外に必要な安全衛生教育はありますか?

A.労働者が、厚生労働省令で定める危険又は有害な業務に従事する場合には特別な安全衛生教育が必要になります

Q.有害な業務とはどういったものですか?

A.法律では下記のものが特に有害な業務として定められています

 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
 ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
 異常気圧下における業務
 削岩機、鋲、打機等の使用によつて身体に著しい振動を与える業務
 重量物の取扱い等重激なる業務
 ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
 鉛、水銀、クロム、ヒ素、黄りん、弗素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリン、その他これに準ずる有害物の粉じん、蒸気又はガスを発散する場所における業務
 前各号のほか、厚生労働大臣の指定する業務

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