202503.31
人材ビジネスの知識
賃金の保障(第26条)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。 |
民法の一般原則が労働者の最低生活保障について不充分である事実に鑑み、強行法規で平均賃金の100分の60までを保障せんとする趣旨の規定である。
1、使用者の責に帰すべき事由
「使用者の責に帰すべき事由」は、使用者の故意や過失に限定されず、使用者側に起因する経営、管理上の障害なども含まれます。ただし、不可抗力による場合はこれに当たりません。
≪参考通達≫
- 派遣中の労働者の休業手当について、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」に 当たるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされる。派遣先の事業場が、天災地変等の不可抗力によって操業できないため、派遣されている労働者を当該派遣先の事業場で就業させることができない場合であっても、それが「使用者の責に帰すべき事由」に該当しないこととは必ずしもいえず、派遣元の使用者について、当該労働者を他の事業場に派遣する可能性等を含めて判断し、「使用者の責に帰すべき事由」に該当しないかどうかを判断することとなる(昭和6.6基発333号)。
- 労働組合が争議をしたことにより同一事業場の当該労働組合員以外の労働者の一部が労働を提供し得なくなった場合にその程度に応じて労働者を休業させることは差し支えない(使用者の責に帰すべき事由に該当しない) (昭和12.2基収 3281号)。
- 労働安全衛生法第66条の規定による健康診断の結果に基づいて使用者が労働時間を短縮させて労働させたときは、使用者は労働の提供のなかった限度において賃金を支払わなくても差し支えない (昭和1021基発1529号)。
2、休業手当の支払
- 休業手当の支払時期については、所定賃金支払日に支払うべきものとされている(昭和3.14基発150号)。
- 使用者が解雇予告又は解雇予告手当の支払をせずに即時解雇の通知をしたため、労働者がこれを有効であると誤信して休業して就職活動をした場合、その即時解雇の通知が解雇予告として有効と認められるときは、使用者は解雇が有効に成立する日までの期間(解雇予告期間)について、休業手当を支払わなければならない(昭和727基収1701号)。