平均賃金(第12条)
① 労働基準法で平均賃金とは、 これを算定すべき事由の発生した日 (賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日)以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、 その期間の総日数で除した金額をいう。
② 上記の賃金の総額には、次の賃金は算入しない。 ⑴ 臨時に支払われた賃金 ⑵ 3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金 ⑶ 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの |
1.平均賃金の算定対象事由と算定事由発生日
平均賃金の算定対象事由と算定事由発生日は、次のとおりです。
平均賃金を用いるもの | 算定事由発生日 |
解雇予告手当 | 労働者に解雇の通告をした日 |
休業手当 | 休業日(休業が2日以上の期間にわたる場合は、その最初の日) |
年次有給休暇中の賃金 | 年次有給休暇を与えた日(年次有給休暇が2日以上の期間にわたる場合は、その最初の日) |
災害補償 | 事故発生の日又は診断により疾病の発生が確定した日 |
減給の制裁 | 減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日 |
2.平均賃金の基本的な計算方法
①平均賃金を算定する場合は、算定すべき事由の発生した日以前 3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除して算出します。
②条文では「算定事由発生日以前3箇月間」となっていますが、実際には算定事由発生日は含めません。ただし、通常は賃金締切日があるので、その場合は賃金締切日から起算して3箇月間を確定します。
≪参考通達≫
(1)2暦日にわたる勤務を行う労働者の場合(一昼夜交替勤務のごとく一勤務が明らかに2日の労働と解される場合を除く)、勤務の2暦日目に算定事由が発生したときは、始業時刻の属する日に事由が発生したものとして取り扱う(昭和5.14基発374号)。
(2)解雇の予告をした後において、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合においても、算定事由発生日は、当初の解雇を予告した日である(昭和6.12基収2316号)。
3.賃金の総額に算入しないもの
①臨時に支払われた賃金
臨時的、突発的事由に基づいて支払われたもの及び結婚手当等支給条件は予め確定されていますが、支給事由の発生が極めて不確定であり、かつ非常に稀に発生するものをいいます。具体的には、結婚手当、私傷病手当、見舞金、退職金等がこれに該当します。
②3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
年3回以内の賞与等など
③通貨以外のもので支払われた賃金
いわゆる現物給与
≪参考通達≫
(1)年俸制で毎月払い部分と賞与部分を合計して予め年俸額が確定している場合の平均賃金の算定については、賞与部分を含めた年俸額の12分の1を1 箇月の賃金として平均賃金を算定する(平成8基収78号)。
(2)3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金であるかどうかは当該賃金の計算期間が3箇月を超えるかどうかによって定まる(昭和11.1基収169号)。
4.控除期間
平均賃金が不当に低くなることを防ぐため、以下の期間中の日数及び賃金は、平均賃金の算定期間及びその算定期間中の賃金の総額から控除しなければなりません。
① 業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間
② 産前産後の休業期間
③ 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
④ 育児および介護休業期間
⑤ 試の使用期間