202303.13
人材ビジネスの知識派遣法

派遣元と派遣先との連携について

派遣労働者の安全衛生を確保するためには、派遣労働者が就労する場所である派遣先と派遣労働者と雇用関係にある派遣元それぞれが法律で義務づけられた措置等を的確に実施するとともに、相互が密接に連絡調整することが必要です。

 

連絡調整役とその職務

1.連絡調整体制の整備
(1)連絡調整の責任者
連絡調整を担当する者は、派遣元及び派遣先が選任した「派遣元責任者及び派遣先責任者」であり、その者はそれぞれの事業における「安全衛生を統括管理する者」(安全管理者、衛生管理者、又は、安全衛生の統括管理する者)との間で派遣労働者の安全衛生に関して連絡調整を行うとともに、派遣元責任者と派遣先責任者との相互間においても必要な連絡調整を行うことになります

(2)責任者の職務
派遣元責任者又は派遣先責任者は、派遣された派遣労働者に関する雇用管理上の責任を一元的に負う者として選任されるものであるとされており、締結した労働者派遣契約の内容などの周知、派遣受入期間の変更通知、管理台帳の記録及び保存、派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理などの職務を行いますが、安全衛生に関しては連絡調整の役割を担うことになります。

(3)派遣元責任者の選任
ア 選任要件
派遣元が派遣元責任者を選任するときは、自らが雇用する者であって、派遣元(事業場単位)に専属する者の中から選任します。(派遣元事業主を派遣元責任者として選任することも可能です。)
派遣労働者を製造業務に派遣する派遣元は、この派遣元責任者とは別に派遣労働者を専門に担当する「製造業務専門派遣元責任者」を選任しなければなりません。
 なお、派遣元責任者(又は製造業務専門派遣元責任者)には、未成年者や一般労働者派遣事業の許可を取り消されて5年を経過しない者を選任することはできません。また、株式会社及び有限会社の監査役も会社法第335条2項の規定により選任することができません。
また、選任された派遣元責任者(又は製造業務専門派遣元責任者)は、適切に職務を遂行するために、厚生労働省職業安定局長に開催を申し出た者が実施する「派遣元責任者講習」を受講する必要があります。

イ 選任数
派遣元責任者の選任数については、製造業へ派遣された派遣労働者を担当する派遣元責任者と、それ以外の業務へ派遣された派遣労働者を担当する派遣元責任者とを区分して選任する必要があります。
製造業に労働者派遣をする派遣元にあっては、製造業の業務に従事させる派遣労働者の数が1人以上100人以下を1単位として、1単位につき1人以上の製造業務専門派遣元責任者を選任することになります。ただし、製造業務専門派遣元責任者のうち1人は、製造業以外に従事する派遣労働者を併せて管理する責任者となることができます。

(4)派遣先責任者の選任
ア 選任要件
派遣先が派遣先責任者を選任するときは、事業場その他の派遣労働者が就業する場所ごとに専属の派遣先責任者として、自らが雇用する者の中から選任します。(派遣先事業主を派遣先責任者として選任することも可能です。)
 製造業務に派遣労働者を従事させる派遣先は、この派遣先責任者とは別に派遣労働者を専門に担当する者「製造業務専門派遣先責任者」を選任しなければなりません。
 なお、製造業務専門派遣先責任者の選任は、法令上は製造業務に50人を超える派遣労働者を従事させる派遣先に限られていますので、50人以下の場合には通常の派遣先責任者が製造業務に従事させる派遣労働者を含めて担当することになります。
しかし、製造業務に従事する派遣労働者が50人以下の場合でも、派遣労働者の安全衛生を確保する上で製造業務専門派遣先責任者を選任することは望ましいことです。
なお、派遣先責任者(又は製造業務専門派遣先責任者)には、派遣元責任者と同様、株式会社及び有限会社の監査役は選任することはできません。
また、派遣先責任者の選任に当たっては、労働関係法令に関する知識、人事・労務管理等についての専門的知識や実務経験など、その職務を的確に遂行することができる者を選任するよう努めることが必要です。

イ 選任数
製造業務専門派遣先責任者の人数については、原則として、製造業の業務に従事する派遣労働者が50人を超え100人以下の場合は1人以上、100人を超え200人以下の場合は2人以上を選任し、以下同様に100人当たり1人以上を追加選任しなければなりません。

2.派遣元責任者又は派遣先責任者の職務
(1)職務の範囲
ア 派遣元責任者の職務
派遣元責任者の職務は、派遣労働者であることの明示、就業条件等の明示、派遣先への通知、派遣元管理台帳の作成、記載及び保存、派遣労働者に対する必要な助言及び指導の実施、派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理、派遣労働者の個人情報の管理に関すること、安全衛生に関すること、派遣先との連絡調整に関することです。

イ 派遣先責任者の職務
派遣先責任者の職務は、工場長など派遣労働者の業務を指揮命令する職務上の地位にある者などに対して、適用される労働関係法令や締結した労働者派遣契約の内容などについて周知すること、派遣可能期間の延長通知に関すること、派遣先における均衡待遇の確保に関すること、派遣先管理台帳の作成、記録、保存及び記載事項の通知に関すること、派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理に当たること、安全衛生に関すること、派遣元との連絡調整に関することです。

(2)連絡調整の内容
派遣元責任者と派遣先責任者は、派遣労働者の安全衛生に関する次のような事項について連絡調整をします。

1.健康診断(一般健康診断、有害業務従事者に対する特殊健康診断など)の実施に関する事項(時期、内容、有所見の場合の就業場所の変更などの措置)
2.安全衛生教育(雇入れ時及び作業内容変更時の安全衛生教育、特別教育、職長等教育など)に関する事項(時期、内容、実施責任者など)
3.労働者派遣契約で定めた安全衛生に関する事項の実施状況の確認
4.危険有害業務に係る連絡調整

Q.なぜ製造業務専門派遣元責任者を選任する必要があるのですか?

A.製造業務では危険な機械や、有害な化学物質等を取り扱う業務があるため、安全衛生に関する措置を徹底する必要があるからです


Q.製造業務専門派遣元責任者の選任に要件で派遣元責任者とは異なるものはありますか?

A.ありません
個別契約書や労働局への届け出に製造業務専門派遣元責任者として記載が必要です

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