202305.15
人材ビジネスの知識派遣法

労使協定方式による派遣労働者の待遇の確保

労使協定方式による派遣労働者の待遇の確保

派遣元事業主が、過半数労働組合(過半数労働組合がない場合においては過半数代表者)と一定の事項を定めた労使協定を書面で締結し、労使協定で定めた事項を遵守しているときは、一部の待遇を除き、労使協定に基づき派遣労働者の待遇が決定されることとなります。ただし、労使協定で定めた事項を遵守していない場合又は労使協定の定めによる公正な評価に取り組んでいない場合には、「労使協定方式」は適用されず、「派遣先均等・均衡方式」が適用されます。
派遣元事業主は、労使協定を雇用する労働者に周知しなければなりません。

■労使協定は、派遣元事業主単位又は労働者派遣事業を行う事業所単位で締結することが可能です。ただし、待遇を引き下げることを目的として、恣意的に締結単位を分けることは、労使協定の趣旨に反するものであり、適当ではありません。

■労働者の過半数を代表する者を選出する場合、その者が①労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないこと、②労使協定をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の民主的な方法による手続により選出された者であることのいずれにも該当することが必要です。過半数代表者が適切に選出されなかった場合には、「労使協定方式」は適用されず、「派遣先均等・均衡方式」が適用されます。

■労使協定には次に掲げる事項を記載しなければなりません。
①労使協定の対象となる派遣労働者の範囲
② 派遣労働者の賃金の決定方法
・「賃金」の範囲は、労働基準法の賃金に含まれるかどうかにより判断します。
・ 労使協定に定める賃金の決定方法は、次に掲げる要件に該当するものに限ります。ただし、職務の内容に密接に関連して支払われる賃金以外の賃金(例えば、通勤手当、家族手当、住宅手当、別居手当、子女教育手当)については、(ⅱ)の要件を満たす必要はありません。
(ⅰ) 派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額と同等以上の賃金の額となるもの
(ⅱ) 派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等の向上があった場合に賃金が改善されるもの
派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を公正に評価して賃金を決定すること
③労使協定の対象とならない待遇及び賃金を除く待遇の決定の方法
・ 「労使協定の対象とならない待遇」は、派遣法第40条第2項の教育訓練及び同条第3項の福利厚生施設をいいます。
・ 派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く)との間で不合理な相違がないものに限ります。
④派遣労働者に対して段階的・計画的な教育訓練を実施すること
⑤その他の事項
・ 有効期間(2年以内が望ましい)
・ 労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を派遣労働者の一部に限定する場合には、その理由
・ 特段の事情がない限り、一の労働契約の契約期間中に派遣先の変更を理由として、労使協定の対象となる派遣労働者であるか否かを変更しようとしないこと

■派遣元事業主は、労使協定に係る書面を、その有効期間が終了した日から3年を経過する日まで保存しなければなりません。

■派遣元事業主は、次に掲げるいずれかの方法により、労使協定を雇用する労働者に周知しなければなりません。
①書面の交付等(書面の交付、労働者が希望した場合のファクシミリ・電子メール等)
②電子計算機に備えられたファイル、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ労働者が当該記録の内容を常時確認できる方法
③常時派遣元事業主の各事業所の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける方法(労使協定の概要について、書面の交付等の方法によりあわせて周知する場合に限ります。)

■派遣元事業主は、事業報告書に労使協定を添付しなければなりません。また、労使協定の対象となる派遣労働者の職種ごとの人数及び職種ごとの賃金額の平均額を報告しなければなりません。

■安全管理に関する措置及び給付のうち、労使協定の対象となる派遣労働者の職務の内容に密接に関連するものについては、派遣先の通常の労働者との間で不合理と認められる相違等が生じないようにすることが望ましいこととされています。

■派遣元事業主は労使協定を締結しているか否かの別並びに当該協定を締結している場合における協定対象派遣労働者の範囲及び当該協定の有効期間の終期の情報提供に当たっては、常時インターネットの利用により広く関係者、特に派遣労働者に必要な情報を提供することを原則とすることとされています。

Q&A

Q.協定期間中に過半数代表者が退職した場合代表者の再選任、労使協定の再締結は必要ですか

A.不要です


Q.協定内容を期間中に変更することはあり得ますか

A.一般賃金が変更された際に起こりえます
派遣労働者の賃金額が一般賃金の額と同等以上の額でない場合には、労使協定に定める賃金の決定方法を変更するために労使協定を締結し直す必要があります
※一般賃金…各県の労働局が発信する同業務従事者の賃金水準

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