202301.27
人材ビジネスの知識派遣法

特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等のための措置(雇用安定措置)

雇用安定措置とは

(1)雇用安定措置
派遣元事業主は、同一の組織単位に継続して3年間派遣され、個人単位の期間制限に達する見込みがある特定有期雇用派遣労働者に対して、次のいずれかの措置を講じなければなりません。
1年以上3年未満の見込みの方については、努力義務がかかります。

【雇用安定措置】
1号 派遣先への直接雇用の依頼
2号 新たな就業機会(派遣先)の提供(合理的なものに限る)
3号 派遣元での(派遣労働者以外としての)無期雇用
4号 その他安定した雇用の継続が図られると認められる措置(雇用を維持したままの教育訓練、紹介予定派遣等)

(2)雇用安定措置の対象労働者
「特定有期雇用派遣労働者」とは、次の①に掲げる者をいい、「1年以上3年未満の見込みの方」には、次の②及び③に掲げる者も含まれます。

  1. 同一の組織単位の業務について継続して1年以上の期間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある有期雇用派遣労働者であって、当該労働者派遣の終了後も継続して就業することを希望している者(特定有期雇用派遣労働者)
  2. 当該派遣元事業主に雇用された期間が通算して1年以上である有期雇用派遣労働者(①を除く)
  3. 当該派遣元事業主に雇用された期間が通算して1年以上である、今後派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者(いわゆる「登録状態」の者)
    (注)②及び③の対象者は雇用安定措置のうち2号~3号のいずれかの措置を講ずる努力義務になります。

(3)雇用安定措置内容の記録
個々の派遣労働者に対して実施した雇用安定措置の内容については、派遣元管理台帳に記録しなければなりません。

(4)雇用安定措置の希望聴取
派遣元事業主は、雇用安定措置を講ずるに当たっては、特定有期雇用派遣労働者等から、当該特定有期雇用派遣労働者等が希望する雇用安定措置の内容を聴取する必要があります。
例えば、当該特定有期雇用派遣労働者等に対し、キャリアコンサルティングや労働契約の締結及び更新、賃金の支払等の機会を利用し、又は電子メールを活用すること等により、希望する措置の内容を聴取してください。
なお、措置を講ずるに当たっての希望の聴取は、労働者派遣の終了後に継続して就業する希望の有無の把握を併せて行う必要があります。

聴取に当たっては、あらかじめ、第1号から第4号までの措置の内容(特定有期雇用派遣労働者以外の者については第2号から第4号までの措置の内容)を示しながら、当該事務所で想定される具体的な措置の内容を説明した上で行うこととしますが、いずれの措置を希望するかは派遣労働者の意思に委ねられるものですので、特定の措置を希望するよう示唆してはいけません。また、希望する措置については、複数を優先順位とともに聴取しておくことが望まれます。

(5)聴取内容の記録
聴取した日時及び内容は、内容を派遣元管理台帳に記録し、3年間保存する必要があります。

(6)留意点
イ)雇用安定措置のうちいずれの措置を講ずるかについては派遣労働者の意向を尊重することが重要であることから、(4)により聴取した内容を踏まえ、派遣労働者等の希望する雇用安定措置を講ずるよう努める。
ロ)義務対象者*においては、当該派遣先で直接雇用されなかった場合には別の措置を講じなければならないことに留意し、時間的な余裕をもって行うことが望ましい。なお、どの雇用安定措置を講ずるかは派遣元事業主の裁量に委ねられているが、派遣労働者が直接雇用の依頼を希望している場合は、直接雇用の依頼により直接雇用が実現するよう努めること。さらに、直接雇用の申込みを依頼するにあたっては、派遣元事業主は派遣先に対して書面の交付等により行うことが望ましい。
ハ)2号の措置について、「新たな就業機会の提供」とは、当該派遣労働者の能力、経験、居住地、就業場所、通勤時間、賃金等の以前の派遣契約により派遣されていた際の待遇等を踏まえ、合理的な範囲のものでなければならない。この待遇については、賃金のみならず福利厚生等幅広いものが含まれる。
【合理的ではない例】
・システムエンジニアの業務に従事していた派遣労働者に対して本人が希望していないにも関わらず清掃業務に従事することを提示する
・現在の居住地の通勤圏内に派遣先があるにも関わらず、転居を伴う遠方の派遣先を提示する
ニ)第3号の措置は、当該派遣元事業主における直接雇用のポストを提示することであり、具体的には、当該派遣元における営業や派遣労働者を管理する仕事等を指す。(派遣労働者以外で無期雇用)
ホ)派遣労働者に対して実施した雇用安定措置の日時及び内容については、派遣元管理台帳に記載しなければならない。

義務対象者とは…事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して3年間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある特定有期雇用派遣労働者であって、派遣先の当該組織単位での派遣就業が終了した後も働き続けることを希望する者である。

Q&A

Q.義務と努力義務は具体的になにがちがうのでしょうか?

A.義務⇒「義務」を怠ると「義務違反」となり、指導・助言・勧告・命令の対象となります。また、違反を重ねるなど悪質な場合は罰金又は懲役刑となる可能性もあります。
努力義務⇒「努力義務」には、法的拘束力や罰則がありません。ただし、法的拘束力や罰則がないからといって努力を怠ると行政から指導を受けることもあります。


Q.同一の組織単位の枠組みはどこまででしょうか?

A.組織単位 (いわゆる「課」や「グループ」など)は下記のように定義され実地に即して判断されます
・業務としての類似性、関連性があるもの
・組織の長が業務配分、労務管理上の指揮 監督権限を有するもの


Q.3年の間に産休・育休または傷病により長期的に派遣先での勤務から離れていた場合も「同一の組織単位に継続して3年間派遣」されたものとして扱われますか?

A.派遣終了(育休開始)と次の派遣開始(産休・育休後に最初に派遣を開始した日)の間の期間が3か月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされます。


Q.派遣先での直接雇用となった場合については業務範囲や雇用期間など契約に制限はありますか?

A.業務範囲や雇用期間等の労働条件に制限はありません。

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