202306.29
人材ビジネスの知識派遣法

労働契約申込みみなし制度について

派遣先が一定の違法派遣を受けた場合には、その時点で、派遣先が派遣労働者に対して、派遣元事業主との労働条件と同じ内容の労働契約を申し込んだとみなされます。

なお、派遣先が違法派遣に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときは、適用されません。

◇派遣先が労働契約の申込みをしたものとみなされた場合、みなされた日から一年以内に派遣労働者がこの申込みに対して承諾する旨の意思表示をすることにより、派遣労働者と派遣先の間の労働契約が成立します。

◇労働契約申込みみなし制度の対象となる違法派遣の5つの類型

①派遣労働者を禁止業務に従事させること

派遣先が以下の業務に派遣労働者を従事させた場合には、その派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなされます。

  1. 港湾運送業務
  2. 建設業務
  3. 警備業務
  4. 病院等における医療関連業務

②無許可事業主から労働者派遣の役務の提供を受けること

無許可事業所から労働者派遣を受けた場合には、その事業所から受け入れた派遣労働者に対して労働者派遣を受けた者が労働契約を申し込んだものとみなされます。許可事業所については、厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」で確認することができます。

③事業所単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること

以下の場合は、期間制限の抵触日以降、受け入れた派遣労働者(期間制限の対象外の派遣労働者を除く)に対して派遣先が労働契約を申し込んだものとみなされます。

  1. 抵触日の1箇月前までに過半数労働者組合等から派遣可能期間を延長するための意見聴取を行わずに、引き続き労働者派遣を受けた場合
  2. 意見を聴取した過半数代表者が管理監督者であった場合
  3. 派遣可能期間を延長するための代表者選出であることを明示せずに選出された者から、意見聴取を行った場合
  4. 使用者の指名等の非民主的方法によって選出された者から意見聴取を行った場合

④個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること

同一の派遣労働者を、3年を超えて派遣先の同一の組織単位に従事させた場合、その派遣労働者に対して派遣先が労働契約を申し込んだものと見なされます。

⑤いわゆる偽装請負等(※)

労働者派遣法または同法により適用される労働基準法等の適用を免れる目的で、請負契約等の契約を締結し、実際には労働者派遣を受けた場合には、労働契約申込みみなし制度が適用されます。

(※)派遣と請負の違い

人材派遣とは

人材派遣(労働者派遣)とは、派遣元の雇用する労働者が、派遣先の指揮命令の下で就業する形態です。

業務請負とは

発注者から業務を請け負い、受注者はその業務の完遂をもって報酬を受ける形態です。

請負と派遣の違い

製造業務請負の場合、請け負った業務を発注者の工場の一部をお借りして行うため、派遣との区別が不明瞭になりがちであることから、「告示37号(※)」の基準にのっとり、受注者である請負業者が業務の独立性の確保や指揮命令権の発揮により、委託された業務を完遂することが求められます。

(※)告示37号とは

労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)(最終改正 平成24年厚生労働省告示第518号)のことで、1985年に派遣法が初めて法制化された際に、請負との区別を明確にするために発信したもの。

参考:http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/h241218-01.pdf

Q&A

 

Q. 派遣先が労働契約申し込みを撤回することはできますか?

A. 特定違法行為に該当する行為が終わってから1年間は撤回できません。


Q. 同一の組織単位とはどの範囲か

A. 課、グループといった業務としての類似性や関連性がある組織や、その組織の長が業務の配分や労務管理上の指揮監督権限を有する場合など。

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