事業等のリスク

事業等のリスク

当社は、単独株式移転の方式により2023年10月に設立されましたが、グループの中核である日総工産株式会社の事業等のリスクが当社の事業等のリスクとなり得ることが想定されます。日総工産の有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを踏まえた当社の事業等のリスクは以下のとおりであります。また、必ずしも事業上のリスク要因に該当しない事項についても、投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

当社グループは、事業目的に影響を与えるリスク(以下「リスク」という)について、「リスク管理規程」を定めるとともに、リスクに適切に対応できる体制の整備を図るために「企業価値向上委員会」(以下「委員会」という)を設置しております。委員会は、リスク管理規程にもとづき、具体的なリスクの特定・分析・評価を行い、その対応方針を定め、定期的に取締役会への報告を行うこととしております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、2023年10月2日現在において当社グループが判断したものであり、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。



(1)特に重要なリスク

① 法的規制について

(総合人材サービス事業)

総合人材サービス事業の主たるサービスは、最近連結会計年度売上高の94.2%を占める製造系人材サービスですが、製造派遣においては「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」、有料職業紹介は、職業安定法に基づき、厚生労働大臣の許可を受けて行っております。また、製造請負においては、製造派遣との区分が明記されている「厚生労働省告示第518号(旧労働省告示第37号)」に基づいて事業を運営しております。そして、これら以外にも労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、健康保険法、個人情報保護法等、多岐にわたる法律に基づいて事業を運営しております。
日総グループでは、法令遵守を経営の最重要事項と位置づけ、関係法令の教育、指導、管理、監督体制の強化に努めるなどして法令遵守の徹底を図っており、上記の諸法令に抵触する事実はないものと認識しておりますが、万一、関連諸法令に違反するような事象や不正行為等が発生した場合には、所轄監督官庁による処罰や社会的に信用が失墜し、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、これら関係諸法令は情勢の変化に伴い見直しが行われており、この法改正が行われた場合、その改正内容によっては、事業運営への制限の発生や対応する体制構築に時間を要することにより、日総グループの業績に影響を与える可能性があります。

日総グループの許可・届出状況

会社名
許可名称
監督官庁
許可番号
取得年月
有効期限
日総工産株式会社 一般労働者派遣事業
有料職業紹介事業
厚生労働省
厚生労働省
派14-150048
14-ユ-150026
2002年10月
2002年08月
2026年12月31日
2026年12月31日
日総ブレイン株式会社 一般労働者派遣事業
有料職業紹介事業
厚生労働省
厚生労働省
派14-020001
14-ユ-020011
1986年07月
2000年08月
2024年01月31日
2026年07月31日

株式会社ベクトル伸和 一般労働者派遣事業
有料職業紹介事業
厚生労働省
厚生労働省
派23-300331
23-ユ-300581
2005年09月
2008年07月
2026年08月31日
2026年06月01日
株式会社ニコン日総プライム 一般労働者派遣事業
有料職業紹介事業
厚生労働省
厚生労働省
派14-303092
14-ユ-301602
2004年12月
2007年10月
2027年01月31日
2025年09月30日

なお、上記の許可・届出について、事業停止、許可取消及び事業廃止となる事由は労働者派遣法第14条及び第21条、並びに職業安定法第32条に定められております。本報告書提出日現在において、日総グループはこれら事業停止、許可取消及び事業廃止事由に該当する事実はありませんが、該当した場合には日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(その他の事業)

介護・福祉事業を展開するその他の事業は、最近連結会計年度売上高の3.3%に相当します。介護保険法に基づく介護サービスを行うには、事業所としての指定を都道府県知事から受ける必要があります。指定を受けた事業所は、サービス毎に定められた事業の人員、設備及び運営に関する基準、並びに労働法規(労働基準法等)を遵守する必要があります。この基準並びに労働法規を遵守することができなかった場合や不正請求をした場合等においては、指定の取消又は停止処分を受ける可能性があります。
日総グループは各種マニュアルを整備し研修を行い、管理体制の強化を図り適切な事業経営に努めておりますが、万一、事業所において指定の取消又は停止処分を受けた場合には、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 組織再編(企業買収、資本提携、業務提携等)のリスク

日総グループは、成長戦略の一環として今後も組織再編(企業買収、資本提携、業務提携)を行う可能性があります。事業環境の変化等の影響により、当初想定した効果を創出できない場合には、日総グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。


(2)総合人材サービス事業のリスク

① 取引先業種の景況による影響について

日総グループの売上高のうち製造系人材サービスの売上高が大半を占めており、取引業種別売上高の構成比をみると、自動車関連が最も高く、続いて電子デバイス関連が高くなっております。日総グループでは、事業展開にあたり企業、業種等による大きな偏りが発生しないように取り組んでおりますが、依存度の高い業界の業況が不振となる、又は取引規模の大きい企業の大規模且つ急激な生産変動や日総グループとの取引に対する姿勢の変更が生じるなどの場合には、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 製造拠点の海外移転について

顧客である国内メーカーの製造拠点が海外に移転し、国内における生産拠点が減少及び海外拠点への生産移管により生産数が減少した場合には、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 業界内における競争激化について

日総グループが属する人材サービス業界においては、法改正や人手不足を背景とした業界再編の動きが見られます。今後、採用力や価格競争力の高い競合が増加した場合、競争が激化することが予想されます。日総グループでは、顧客からのニーズを把握し、そのニーズに応えるための人材を募集し、顧客に対して的確かつ迅速な対応を行うことで顧客満足度を高め、競合会社と差別化を図っておりますが、受注を獲得するための過当競争が生じて受注価格の引き下げや人材を確保するための募集費用等が増加した場合、また必要な人員が確保できない場合には、売上機会の損失による売上高の低下や収益性の悪化により、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 無期雇用社員(「技能社員」)について

日総グループは、無期雇用社員(技能社員)の積極的な活用を推進しておりますが、急激な経済環境の変化などにより、顧客との契約が縮小または終了した場合には、雇用維持費用の発生により日総グループの業績に影響を及ぼす場合があります。

⑤ 製造請負について

日総グループで行っている工場構内の製造業務を請け負う製造請負は、労務管理と顧客企業の製品の生産量や納期、品質あるいは設備、在庫管理といった領域の責任を自社で負っており、日総グループでは付加価値の高い製造請負サービスを顧客企業に提供してまいりました。これらの長年の取り組みにより製造請負事業改善推進協議会(厚生労働省委託事業)から日総グループは「製造請負優良適正事業者」として認定されております。しかしながら、製造請負は、不良品の発生や顧客企業の設備の破損等の責任を負わなければならないため、これらの事象が発生した場合には、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 労働災害等のリスクについて

日総グループの主たるサービスである製造系人材サービスは、取引先メーカーの工場構内において、製造派遣・製造請負を行っております。製造派遣は法律上、人材を取引先メーカーに派遣し、派遣した人員の指揮命令等の労務管理が派遣先に委ねられる形態となっております。一方、取引先メーカーの工場構内で行う製造請負においては、取引先メーカーとの業務請負契約により生産量、生産期限、品質及び取引先メーカーの備品を使用するにあたっての備品管理といった領域まで責任を負っております。
製造派遣の取引形態と製造請負の取引形態では、業務を遂行する社員及び製造スタッフが労働災害に見舞われた場合において責任主体が異なり、製造派遣においては取引先メーカーがその損害について責任を負うのに対し、製造請負においては日総グループが責任を負うこととなります。
労働災害に関しましては、基本的に労働保険の適用範囲内で解決されるものと考えておりますが、日総グループの瑕疵が原因で発生した労働災害において、被災者が労働保険の適用を超えて補償を要求する等、訴訟問題に発展した場合には、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 取引先企業の情報の取り扱いについて

日総グループの就業者は、取引先企業の生産計画や新製品の開発及び製造に関わる機密性が高い情報に接することがあります。日総グループにおいてはこれらの機密情報の扱いについて、業務請負契約書や派遣基本契約書等に、知り得た顧客情報は第三者に開示、漏洩してはならないと記載されており、就業者に対しても顧客情報の取り扱いの教育を行うなど適正な運用管理を行っております。しかしながら、予期せぬ事態によりこれらの情報が漏洩した場合には、日総グループへの損害賠償請求や社会的な信用低下等により、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 業績の季節変動について

日総グループの事業において、毎年5月、8月、1月は連休等により稼働日が減少するため、売上高及び、利益の減少を予想しております。取引先であるメーカーがさらに大型連休等を設定した場合には、日総グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 自然災害について

日総グループの主な就業場所は全国の顧客工場ですが、当該地域において大規模な地震、風水害等の自然災害が発生し、就業先工場が被災したり、製品調達先の被災によりサプライチェーン上の混乱などが生じ、生産活動が停止又は制限されたりした場合、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、取引先における災害ではない場合でも、これらの災害が発生したことにより国内の経済状況が悪化してしまった場合には、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。


(3)その他の事業のリスク

① 介護保険制度の改正について

介護・福祉事業(施設介護・在宅介護)は、介護保険法の適用を受けるサービスの提供を事業内容とするため、介護保険制度の影響を受けることになります。この介護保険制度は、3年毎に介護保険法及び介護報酬の改正が行われており、これに合わせて3年を1期とする市町村介護保険事業計画の策定が行われております。
その改正の内容によっては、事業内容の見直しや変更を余儀なくされる等により日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 人材(有資格者)確保について

日総グループが提供する介護サービスは有資格者によるサービスが義務付けられております。この有資格者は提供するサービス内容によって、人員基準及び設備基準が厚生労働省令で規定されているため適切な資格を有する人材を確保する必要があります。日総グループにおいては、人員基準を満たす人材獲得及び研修等に積極的に取り組んでおりますが、今後有資格者の確保が計画どおり進まず欠員が発生したり、基準の変更等により人材の補充が必要になっても確保できないこと等により、人員基準を満たせなくなった場合には、施設の新設及び現在提供しているサービス提供ができなくなり、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 業界内における競争激化について

介護保険制度の施行以来、介護サービスの利用者は増加傾向にあります。今後も高齢化が進行することにより、介護関連ビジネス市場は拡大が予測されており、当市場には医療法人や社会福祉法人といった非営利法人や株式会社等の営利法人なども参入してきている状況であります。日総グループは提供するサービスの質を高め、他社との差別化を図り、利用者の拡大とサービスの継続利用に努めておりますが、今後、新規参入などによる当業界内で一層の競争激化が生じた場合には、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 風評等の影響について

介護・福祉事業(施設介護・在宅介護)は、利用者やその家族からの信用に大きく依存しております。そのため、日総グループや施設に対するネガティブな風評等が発生、拡散し利用者やその家族をはじめとする市場関係者が日総グループ及び施設について事実と異なる理解・認識をされた場合には、新規利用者の獲得や施設稼働率の維持が困難となり、日総グループの運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 安全管理及び健康管理について

日総グループのサービス対象は高齢者が多いことから、お客様の体調悪化や転倒等が重大な事故に発展する可能性があります。日総グループといたしましては、従業員に対し長年の実績に基づいた社内研修や実地訓練を行うとともに、利用者様に対する健康チェックの実施や施設内外の設備保全など、安全・健康管理には万全を期し、細心の注意を払っております。しかしながら、万一、事故等が発生し日総グループの責任が問われた場合には、日総グループの信用が低下するとともに訴訟等で損害賠償請求を受けるおそれがあり、事業の存続を含め、日総工産グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 自然災害について

地震や津波等の大規模な自然災害や各種感染症の拡大が発生した場合、介護スタッフ及び施設が稼動できない状況になるおそれがあります。日総グループにおいては、お客様の安全を最優先とした危機管理態勢の強化を図っておりますが、これらの災害発生により、サービス提供ができなくなる場合、また、これら災害等の発生に対し、日総グループの責任が問われた場合には、信用が低下し、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。


(4)日総グループ経営全般について

① 気候変動について

日総グループにおける気候変動による物理的リスクとして、取引先工場が大型台風や暴風雨などの異常気象が原因で工場停止になることで派遣・業務請負での勤務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、移行リスクとして、気候変動対応への機運の高まりによる新たな税制の導入などがあった場合に、日総グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 個人情報保護について

日総グループは、求職者(求人案件応募者や職業紹介希望者等)をはじめとする多数の個人情報を有しており、この個人情報及び個人情報に係る全ての情報を事業運営上もっとも重要な資産であると考えております。日総グループでは、2005年4月に施行された個人情報の保護に関する法律を遵守するとともに「プライバシーマーク」を取得し、個人情報保護理念・個人情報保護方針を定め、個人情報保護基本規程に則り、社内運用体制の整備、定期的な研修、情報管理の徹底強化等、個人情報の厳正な管理に留意しております。しかしながら、個人情報の故意又は過失による漏洩や不正使用などの事態が生じた場合には、損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、社会的な信用を悪化させ、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 固定資産の減損について

日総グループは、事業用の資産として土地・建物等の固定資産を有しており、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後地価の動向及び対象となる固定資産の事業の収益性状況によっては、減損損失の計上が必要となり、日総グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 訴訟について

日総グループでは、必要に応じた教育機会を設けるなどして法令遵守を徹底しているため、訴訟、紛争の可能性は低いものと考えております。しかしながら、不測の事態により日総グループに関連する訴訟、紛争が発生した場合において、日総グループが的確に対応できなかった場合には、訴訟や損害賠償等による費用等の発生や社会的な信用低下、さらに日総グループのブランドイメージの低下により顧客からの受注の減少や就業希望者の減少が生じ、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 新型コロナウイルス等の感染症拡大による影響について

日総グループは、総合人材サービス事業及びその他の事業(介護・福祉事業)を展開しており、ともに人を起点とした事業を展開しております。顧客や職場、介護施設において罹患者が発生するなど、新型コロナウイルス等の感染症が拡大した場合には、日総グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。